訳文の難しさ

「一語一句を正確に置き換えれば翻訳文が完成する」のであれば非常に楽なわけですが、
作業はそれほど単純ではありません。

大切なことは、
①原文の意味を正しく伝えること
②原文を、日本語として正しいものに仕上げること
の2点です。

この2点を達成するために、様々な「工夫」をします。
「工夫」をすればするほど、「一語一句を訳す」という本来に意味からからは遠ざかります。

しかし一般的に、100 点満点の翻訳というものは存在しないと言えます。
満点が難しいというのは、ドキュメントや Web サイトを読む人(対象読者)によって、
訳文から受ける印象が変わってしまうことがあるためです。

例えば、A さんが書いた文章を、B さんは読みやすいと思っても、
C さんは必ずしも読みやすいとは思わないことがあります。
なぜこういうことが起きるのでしょうか。主な理由として考えられるのは、

# 文章の読解力
# 文章の構成力
# 個人の好み(文体、文章のリズム、使用する語彙、文章の構成など)
# 個人個人のバックグラウンドの違い

などが挙げられます。
これらは対象読者の一人一人がそれぞれ異なっています。
「差」があるのではなく、「違い」があるということです。
そのため文章(訳文)を読んで受ける印象も変わりますし、評価も変わります。

B さんにとって 100 点満点の訳文であったとしても、
C さんにとって 100 点でないというケースが起き得るのはこういう理由からです。

100 人中、8 割、9 割の読者が「読みやすかった、分かりやすかった」と感じることができれば、
それは良い訳文として受け入れられることになります。
世の中に無数に存在する文章は、訳文に限らず、より多くの人に
「分かりやすい、読みやすい、美しい」と思われれば、少なくとも及第点となります。

これには文章のリズムや語彙力、読解力、専門性など、多くの要素が含まれていると考えられます。
相手に響く訳文というのは、結局のところ総合力が必要であるということです。

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